相続税

土地が多い相続は申告費用が上がる?評価の手間と報酬の関係

相続財産に土地が多く含まれる場合、税理士報酬は、預金や上場株式が中心の相続に比べて高くなる傾向があります。

これは、土地の金額が高いからというだけではありません。土地ごとに形状、接道状況、利用方法などが異なり、個別の評価作業が必要になるためです。

この記事では、宅地の評価に手間がかかる理由、税理士報酬への影響、見積りで確認しておきたいポイントを解説します。以下で説明する評価方法は、主に宅地(住宅地・貸地・駐車場等の敷地となっている土地)を想定したものです。田・畑・山林など他の地目の土地は、宅地とは異なる評価方法が用いられます。

※税理士報酬には法令上の統一料金や公定価格はありません。以下の金額は、2026年7月時点で確認できる複数の税理士事務所の公開料金表をもとにした例です。加算の有無、金額、評価単位の数え方、業務範囲は事務所ごとに異なります。最終更新:2026年7月。金額の考え方については相場データについてもご参照ください。

宅地の評価に手間がかかる理由

預金や上場株式は、土地に比べると評価方法が比較的定型化されています。一方、宅地は、原則として路線価方式または倍率方式により評価し、土地ごとの個別事情を反映します。評価は、相続開始時点における現況の地目・利用状況と、実際の面積(実地積)を基準に行うのが原則です。登記上の地目や地積と実際の状況が異なる場合は、現況が優先されます。

主に、次のような点を確認します。

  • 土地の形状や間口、奥行き
  • 不整形地、奥行価格補正などの補正の要否
  • 道路への接し方や接道状況(角地など複数の道路に接する土地は、加算要因になることがあります)
  • セットバックが必要な部分の有無
  • 高低差やがけ地などの状況
  • 自宅、貸地、貸家建付地、駐車場などの利用状況
  • 借地権、貸宅地、共有持分などの権利関係
  • 都市計画や道路種別などの役所調査
  • 小規模宅地等の特例を適用できるか

また、一定面積以上の宅地については、「地積規模の大きな宅地の評価」という制度により評価額が調整されることがあります。適用できるかどうかは、面積、所在地域、用途地域などの要件を満たすかを個別に判定する必要があり、対象となる土地すべてに当然に適用されるものではありません。

図面や登記情報だけでは分からない事情があるため、現地確認や役所調査が必要になることもあります。こうした作業は評価単位ごとに発生するため、土地の筆数だけでなく、評価単位が増えるほど作業量が積み上がる傾向があります。

評価単位には3つの数え方がある

土地の加算を考えるときに注意したいのが、「筆」「利用区分」「診断ツールの土地の数」という3つの異なる数え方です。

  • ①税務上の評価単位(画地):相続税の土地評価では、原則として利用の単位となっている一区画の宅地(1画地)ごとに評価します。登記上の「筆」とは必ずしも一致しません。たとえば、登記上は1筆でも自宅部分と貸駐車場部分に分けて利用していれば2画地として評価され、逆に複数筆を一体として自宅の敷地に使っていれば1画地として評価されることがあります。
  • ②公開料金表上の「1利用区分」:事務所の料金計算上、①の画地の考え方を参考にしつつ、独自に「1利用区分」を定義していることが多く、数え方や料金上の扱いはすべての事務所で同じではありません。
  • ③タノモルの相場診断の「土地の数」:診断ツールに入力する「土地の数」は、①・②のような正式な評価単位判定を行うものではなく、大まかな概算を把握するための簡易な入力項目です。診断結果はあくまで目安であり、正式な評価単位・加算額は、税理士による現地確認と見積りで確認する必要があります。

税理士報酬への影響

公開料金表の例では、各事務所の料金計算上の1利用区分につき、5万~6万円程度の加算を設けているケースがあります。

仮に2つの利用区分のうち、1区分目を基本報酬に含め、2区分目のみを加算対象とする料金体系であれば、基本報酬に5万~6万円程度が上乗せされる計算です。なお、両方の区分を加算対象とする料金体系もあり、その場合は10万~12万円程度になります。

ただし、すべての土地を一律の定額で評価するとは限りません。次のような土地については、個別見積りになることがあります。

  • 規模の大きな土地、著しく不整形な土地、接道状況に問題がある土地
  • 貸地や借地権が関係する土地、共有持分の土地
  • 複数の用途に分けて使われている土地、特殊な権利関係や利用制限がある土地

また、現地調査、役所調査、必要資料の取得、土地評価資料の作成などが、土地加算に含まれるか、別料金になるかも事務所によって異なります。

相続税評価額は市場価格・固定資産税評価額とは別のものです

相続税の土地評価額(路線価方式・倍率方式による評価額)は、実際に売買される市場価格や、固定資産税の課税に使われる固定資産税評価額とは、算定方法も金額も異なります。市場価格や固定資産税評価額を目安に相続税額を見積もると、実際の申告額と差が生じることがあるため、注意が必要です。

また、自宅の敷地などについては、小規模宅地等の特例により、一定の面積まで評価額を大きく減額できる場合があります。ただし、この特例は要件を満たす場合に申告により適用を受けるものであり、対象の土地に自動的に適用されるわけではありません。適用要件を満たすかどうかは個別の判断が必要です。

土地が多い相続で税理士に依頼する意味

土地の評価は、同じ面積でも、形状や利用状況、接道条件などによって評価額が変わることがあります。税理士報酬が加算されるとしても、適切な評価と特例の検討によって、相続税の負担を適正な金額にすることが重要です。

土地が多い相続では、単に報酬が安いかどうかだけでなく、土地評価の経験、現地確認や役所調査の方針、評価根拠の説明なども含めて依頼先を比較するとよいでしょう。

見積りで確認したいポイント

  • 土地の加算単位は「筆」か「利用区分(画地)」か、何を1区分として数えるか
  • 1区分あたりの加算額はいくらか
  • 現地調査や役所調査、評価資料・図面の作成が報酬に含まれるか
  • 複雑な土地は定額加算か個別見積りか
  • 「地積規模の大きな宅地の評価」や小規模宅地等の特例の検討が含まれるか
  • 表示金額が税込か税抜か

よくある質問

土地の数え方は「筆」と「利用区分」のどちらが正しいですか

どちらか一方が正しいというものではなく、目的によって使い分けられます。税務上は原則として利用単位である「画地」で評価し、料金表上は事務所が独自に定めた「利用区分」で加算額を計算します。

相続税評価額と固定資産税評価額は同じ金額ですか

異なります。算定方法も金額も別のものであり、固定資産税評価額をそのまま相続税評価額として扱うことはできません。

小規模宅地等の特例はすべての土地に自動的に適用されますか

されません。要件を満たす場合に、申告によって適用を受ける制度です。適用可否は個別の判断が必要です。

「地積規模の大きな宅地の評価」とは何ですか

一定面積以上の宅地について、面積や所在地域などの要件を満たす場合に評価額が調整される制度です。要件判定が必要で、対象の土地すべてに当然に適用されるわけではありません。

タノモルの相場診断に入力する「土地の数」は正式な評価単位ですか

正式な評価単位ではありません。大まかな概算を把握するための簡易な入力項目であり、正式な評価単位や加算額は税理士による見積りで確認する必要があります。

土地の評価単位を確認して相場を比較する

土地を含む相続の見積りを比較するときは、登記上の筆数だけでなく、実際の利用状況をもとに、何区分として料金計算されるのかを確認することが大切です。同じ土地でも、事務所によって評価単位の数え方や料金体系が異なる場合があります。見積書の金額だけでなく、評価業務の範囲や追加料金の条件も確認しましょう。加算の全体像は「相続税申告の報酬が加算される5つのケース」もご参照ください。

タノモルの無料相場診断では、遺産総額に加えて土地の数を入力することで、土地の加算を織り込んだ概算の報酬レンジを確認できます。ただし、この入力はあくまで簡易な概算であるため、正確な評価単位・加算額は、正式な見積りで税理士に確認してください。

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※本記事は一般的な参考情報を提供するものであり、個別の相続税相談、土地評価、税額計算を行うものではありません。土地の評価方法、評価単位の判定、各種補正、地積規模の大きな宅地の評価、小規模宅地等の特例の適用可否などは、個別事情により異なります。具体的な判断は税理士にご相談ください。

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