税理士を変更(乗り換え)するタイミングと進め方
現在依頼している税理士について、「相談への返信が遅い」「提案が少ない」といった不満を感じることは珍しくありません。税理士の変更(乗り換え)も、状況に応じて検討される選択肢の一つです。
この記事では、税理士の変更を検討するきっかけになりやすい状況と、変更時の進め方・注意点を解説します。
※税理士報酬には法令上の統一料金や公定価格はありません。以下は一般的な傾向であり、実際の判断は契約内容や事務所ごとの対応によって異なります。最終更新:2026年7月。
変更を検討するきっかけになりやすい状況
- 問い合わせへの返信が遅く、相談したいタイミングで連絡が取れない
- 契約当初に期待していた提案や相談が受けられず、契約範囲や依頼目的と実際の対応にずれを感じている
- 事業規模の拡大により、現在の料金体系や対応範囲では見合わなくなってきた
- 法人化や事業拡大にともない、より専門的な対応(消費税、組織再編、資金調達支援など)が必要になった
- 担当者が頻繁に変わり、事業内容の引き継ぎが十分にされていないと感じる
- 料金体系や追加料金の説明に納得感が持てない
税理士変更の具体的な進め方
税理士の変更は、次のような順序で進めると、業務の停止や資料の紛失といったトラブルを避けやすくなります。
- ①契約内容と変更理由の整理:現在の契約書・見積り内容と、変更を検討する理由を整理する
- ②現在の税理士に改善可能か確認:不満点が解消できる余地がないか相談してみる
- ③新しい税理士を探し、対応可能か確認:複数の候補と面談し、依頼したい業務に対応できるか確認する
- ④受任日と前任の契約終了日を決める:両者の契約日程にすき間ができないよう調整する
- ⑤契約に従い解約を通知:契約書の解約条項に沿って、現在の税理士に解約の意思を伝える
- ⑥引継資料と会計データの移行:必要な資料・データを受け取り、新しい税理士へ引き渡す
- ⑦税務代理・電子申告・クラウドの権限整理:税務代理権限や電子申告、クラウド会計の権限を切り替える
- ⑧直近の期限・担当者の確認:直近の申告期限・納税期限と、対応する担当者を新旧双方で確認する
変更に向いているタイミング
税理士の変更は、決算・申告が終わった直後に進めると、資料の整理や引継ぎに取り組みやすく、比較的スムーズに進められるとされることがあります。
一方、申告期限の直前に変更しようとすると、新しい税理士が短期間で内容を把握する必要があり、資料の引継ぎが間に合わない、対応を断られるといったリスクが生じやすくなります。できるだけ早い段階で新しい依頼先を探し始めることが望ましいと考えられます。
ただし、次のような状況では申告を待たず、早めに新しい税理士へ相談することをおすすめします。
- 現在の税理士と連絡が取れない
- 期限管理に不安がある
- 重要な手続きが止まっている
- 申告内容に重大な誤りの疑いがある
- 税務調査や照会が進行中である
解約予告期間についての考え方
顧問契約は法律上、委任・準委任として扱われる部分があり、原則として各当事者から解除できます。ただし、相手方に不利な時期の解除では損害賠償が問題になる場合があり、実際の判断は契約条項・解除時期・未完了の業務内容によって異なります。まずは契約書の解約条項を確認し、判断に迷う場合は専門家に相談しましょう。
税務代理権限の切替えを確認する
- 前任の税理士が税務代理権限証書を税務署に提出している場合があります
- 契約終了時は委任終了の通知が関係し、新しく依頼する税理士は新たな税務代理権限証書を提出します
- これらの手続きは基本的に税理士側が行います
- 税務調査や電子申告の代理受領、各種申請・届出が進行中の場合は、新旧の税理士に担当範囲を確認しましょう
引継ぎに必要になりやすいもの
引継ぎでは、直近の試算表、仕訳帳・総勘定元帳、電子申告の受信通知が特に重要です。あわせて次の資料・情報の状況も確認しておくとスムーズです。
- 過去の確定申告書・法人税申告書の控え、固定資産台帳、源泉徴収簿・法定調書の控え
- 各種届出書の控え(青色申告承認申請書、消費税の課税方式に関する届出書など)
- e-Tax・eLTAXの利用者識別番号等の管理状況
- 納税予定表、中間申告・予定納税の状況
- 繰越欠損金や税額控除の管理資料
- 税務署・自治体からの照会書類、進行中の税務調査・修正申告等の有無
- クラウド会計の管理者権限、前任税理士が保管している原本資料
- 作業途中の決算整理仕訳と未処理事項の一覧
解約時に確認しておきたい事項
- 解約日までに前任の税理士が行う業務の範囲
- 進行中の申告・届出の完了担当
- 解約月の顧問料・決算料等の精算
- 会計データの形式と受渡し期限
- 原本資料の返却
- クラウド・共有フォルダ・チャットのアクセス権限の整理
- 税務代理権限の終了・切替
- 新しい税理士から前任の税理士への直接連絡の可否
- 引継ぎにともなう追加料金の有無
解約の申し出は、契約書の内容を確認した上で、書面やメールなど記録に残る方法で行っておくと、後のトラブルを避けやすくなります。
変更先を選ぶときの視点
変更先の選定にあたっては、料金だけでなく業務範囲や相性を含めて比較することが大切です。見積り比較の視点は「税理士の見積り比較で見るべき3つのポイント」で、初回相談で確認したいポイントは「税理士との相性を見極める、初回相談で確認したいポイント」で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
よくある質問
新しい税理士を決める前に、現在の税理士を解約してもよいですか
解約自体は可能ですが、契約の空白期間ができると申告期限の管理などに支障が出ることがあります。新しい税理士の受任のめどが立ってから解約を進めると安心です。
税理士を変更した場合、税務署への届出は必要ですか
税務代理権限証書の提出など、税理士側で行う手続きが中心になります。必要な手続きは状況によって異なるため、新しい税理士に確認しておくとよいでしょう。
前の税理士にはどのように解約を伝えればよいですか
契約書の解約条項を確認した上で、書面やメールなど記録に残る方法で伝えることをおすすめします。伝え方に迷う場合は、新しい税理士に相談する方法もあります。
前の税理士が資料を渡してくれない場合はどうすればよいですか
まずは当事者間で必要な資料と期限を確認するのが基本です。話し合いで解決しない場合、所属する税理士会の相談窓口や紛議調停制度を利用できることがあります。
申告期限の直前でも税理士を変更できますか
対応可否は事務所によって異なります。短期間での対応が難しい場合もあるため、期限が迫っているほど早めに複数の候補へ相談することが望ましいです。
変更を検討する前に参考レンジを確認する
変更後の料金が適正かどうかを判断するためにも、事前に参考レンジを把握しておくことが役立ちます。現在の税理士への年間費用と、新しい税理士に依頼した場合の年間費用を、業務範囲をそろえて比較することが重要です。
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※本記事は一般的な参考情報を提供するものであり、個別の契約解除の法的判断や税務相談を行うものではありません。実際の解約・変更にあたっては、現在の契約内容をご確認の上、必要に応じて専門家にご相談ください。
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