準確定申告を税理士に依頼する費用の目安|相続税申告との違いと申告期限
親族が死亡し、遺産の整理を進める中で「準確定申告」という言葉を初めて目にした方も多いのではないでしょうか。準確定申告は、死亡した人(被相続人)が生前に確定申告を要する状態だった場合に、相続人が代わって行う所得税の申告です。相続税申告とは別の手続きであるにもかかわらず、同じ時期に検討することが多いため混同されがちですが、対象となる税目も申告期限も異なります。
この記事では、準確定申告とは何か、申告期限と提出先、税理士に依頼する場合の料金の目安、相続税申告とあわせて依頼する場合の扱い、見積りを依頼するときの確認事項を整理します。
※税理士報酬は、2002年4月1日施行の改正税理士法により従来の報酬規定が廃止され、現在は事務所ごとの自由料金となっています。以下は一定の条件を前提とした参考レンジであり、所得の種類・件数・依頼先の事務所などにより異なります。正式な金額は個別の見積りが必要です。最終更新:2026年8月。
準確定申告とは|死亡した人の所得税の確定申告
準確定申告とは、年の中途で死亡した人について、その人が本来行うはずだった所得税の確定申告を、相続人(包括受遺者を含みます)が代わって行う手続きです。被相続人が個人事業主だった場合、不動産所得があった場合、給与以外に一定額以上の所得があった場合など、もともと確定申告を要する状態だったときに必要になります。給与のみで年末調整が済んでいたなど、被相続人がもともと確定申告を要しない状態だった場合は、準確定申告も不要となることがあります。
準確定申告は、相続税申告とは対象となる税目が異なる別の手続きです。準確定申告は被相続人の生前の所得に対する「所得税」の申告であるのに対し、相続税申告は被相続人から相続人が引き継いだ「遺産」に対する「相続税」の申告です。相続税申告そのものの報酬水準については「相続税申告の税理士報酬相場|遺産総額別の早見表」で解説しています。
準確定申告の期限と提出先
準確定申告の提出義務者は相続人(包括受遺者を含みます)です。申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内とされています(所得税法第124条・第125条)。提出先は、相続人の住所地ではなく、被相続人の死亡当時の納税地を管轄する税務署です(所得税法第16条・第85条)。
相続人が複数いる場合は、相続人全員が連署して1通の申告書を提出する方法と、各相続人が別々に申告書を提出する方法のいずれも認められています。ただし、各自が別々に提出する場合は、申告した内容を他の相続人に通知する義務があります。
4か月という期限は、相続税申告の期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内)よりもかなり短い点に注意が必要です。相続税申告の準備を始める前に、まず準確定申告の要否と期限を確認しておくことをおすすめします。
準確定申告を税理士に依頼する費用の目安
※以下は、外部の税理士事務所を横断した市場調査の平均値ではなく、タノモルが整理した参考レンジである点にご留意ください。公開されている料金には税込表示・税抜表示・記載なしが混在しているため、幅を持たせて示しています。所得の種類・件数、依頼先の事務所などにより実際の金額は異なります。
所得の種類・条件 | 料金の目安 |
|---|---|
給与所得・年金等、限定的な所得のみの場合 | 15,000円程度から |
事業所得・不動産所得がある場合 | 50,000~100,000円程度から |
譲渡所得がある場合(土地・建物・有価証券等、1件あたりの加算) | 50,000~100,000円程度 |
消費税の準確定申告もあわせて必要な場合 | 50,000~100,000円程度 |
※「給与所得・年金等、限定的な所得のみの場合」「譲渡所得がある場合」「消費税の準確定申告」の3項目は、今回確認できた具体的な金額を示す公開料金例がそれぞれ1件にとどまり、参考レンジの一つの目安にとどまります。事務所や個別の事情によって金額は変わり得る点にご注意ください。
青色申告か白色申告かによっても料金が分かれる事務所があり、初年度(死亡した年分)はやや高めの料金設定になっている例も見られました。事業所得がある場合の実際の請求額が10万円前後になった例も確認できており、事業規模や取引数によって上記レンジの上限に近づく、またはそれを超えることもあります。
相続税申告とあわせて依頼する場合の扱い
準確定申告の受任方針は事務所によって分かれます。相続税申告を依頼した人に限り準確定申告も引き受ける事務所がある一方、準確定申告のみを独立して受任している事務所もあります。相続税申告を別の事務所、あるいは税理士以外の専門家に依頼する予定がある場合や、そもそも相続税の申告が不要な場合(遺産総額が基礎控除以下など)は、準確定申告のみを単独で依頼できる事務所を探す必要があります。
見積りを依頼する際は、相続税申告とセットでなければ準確定申告を受けられない事務所なのか、準確定申告のみでも対応してもらえる事務所なのかを、早い段階で確認しておきましょう。
別料金になりやすい業務
準確定申告の基本料金とは別に、次のような業務は追加料金が発生する場合があります。
- 譲渡所得の申告(土地・建物・上場株式等の譲渡)
- 消費税の申告(被相続人が消費税の課税事業者だった場合)
- 医療費控除・ふるさと納税(寄附金控除)など、入力ボリュームの多い控除の適用
- 相続人の間で連絡調整が難航する場合の対応
特に譲渡所得と消費税の申告は、基本料金とは別枠で個別見積りとしている事務所が複数見られました。どこまでが基本料金に含まれるかは事務所ごとに異なるため、被相続人の所得の内容を正確に伝えた上で見積りを取ることが重要です。
申告期限が迫っている場合の注意点
準確定申告の期限(4か月以内)に間に合わない場合、期限後申告となり、無申告加算税や延滞税の対象となる可能性があります。相続税の申告期限(10か月以内)に比べて準備期間が短いため、相続が発生したら早めに、準確定申告の要否とあわせて税理士へ相談することをおすすめします。相続税の申告期限が迫っている場合の一般的な注意点は「相続税の申告期限まで3か月を切ったら|特急料金・未分割・納税の注意点」でも解説していますので、あわせてご確認ください。
見積り・依頼時に確認したい事項
- 被相続人の所得の種類(給与・年金・事業所得・不動産所得・譲渡所得など)を伝えた上での見積りか
- 表示金額が税込か税抜か
- 相続税申告とセットでなければ受任できないか、準確定申告のみでも対応可能か
- 消費税の準確定申告が必要な場合の追加料金の有無
- 相続人が複数いる場合の連署提出への対応可否
- 申告期限(4か月以内)に対応できるスケジュールか
見積りを比較するときの考え方は「税理士の見積り比較で見るべき3つのポイント」でも解説しています。あわせてご確認ください。なお、準確定申告は死亡した人本人の申告であり、相続人自身が生前から依頼していた確定申告のスポット依頼(「確定申告だけを単発で税理士に依頼する『スポット依頼』とは」で解説)とは対象者が異なる点にもご注意ください。
よくある質問
準確定申告は必ず必要ですか
被相続人がもともと確定申告を要する状態だったかどうかによります。給与のみで年末調整が済んでいた場合など、被相続人がもともと確定申告を要しない状態だった場合は、準確定申告が不要なこともあります。判断に迷う場合は税理士や税務署へ確認しましょう。
準確定申告と相続税申告はセットで依頼しないといけませんか
事務所によります。相続税申告の依頼者に限り準確定申告も受任する事務所と、準確定申告のみを独立して受任している事務所の両方があります。相続税申告を別の専門家に依頼する予定がある場合や、相続税の申告自体が不要な場合は、準確定申告のみに対応している事務所を探す必要があります。
準確定申告の期限に間に合わない場合はどうなりますか
期限後申告となり、無申告加算税や延滞税の対象となる可能性があります。相続税の申告期限(10か月以内)よりも短い期限(4か月以内)であるため、相続が発生したらできるだけ早く、準確定申告の要否を確認することをおすすめします。
相続人が複数いる場合、誰が準確定申告をしますか
相続人全員が連署して1通の申告書を提出する方法と、各相続人が別々に提出する方法のいずれも認められています。各自が別々に提出する場合は、申告した内容を他の相続人に通知する義務があります。
準確定申告は税理士に依頼せず自分でできますか
被相続人の所得の種類が給与・年金など限定的な場合は、相続人自身での対応も可能なケースがあります。ただし、事業所得・不動産所得や譲渡所得がある場合は、必要書類や計算が複雑になりやすく、期限(4か月以内)も短いため、税理士への依頼を検討する価値があります。
まとめ
準確定申告は、死亡した人の所得税の確定申告を相続人が代わって行う手続きであり、相続税申告とは対象税目も期限も異なります。税理士に依頼する場合の料金は、被相続人の所得の種類(給与・年金のみか、事業所得・不動産所得があるか)、譲渡所得や消費税申告の有無、相続税申告とセットで依頼するかどうかによって変わります。申告期限は4か月以内と短いため、早めに見積りの前提条件を確認することが重要です。
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※本記事は一般的な参考情報を提供するものであり、個別の税務相談、税額計算、特定の税理士事務所の料金評価を行うものではありません。実際の依頼にあたっては、各事務所の見積りについて、税込・税抜の別、業務範囲、追加料金の条件をご確認ください。
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