給与計算を税理士・社労士に依頼する費用の目安|従業員数別の相場と追加料金
給与計算を税理士や社会保険労務士に依頼する場合、料金は従業員数、顧問契約があるかスポット依頼か、社会保険の手続き代行まで含めるかどうかによって変わります。同じ従業員数の会社でも、依頼先が税理士事務所か社会保険労務士事務所かによって、対応できる業務の範囲や料金体系に違いがあることは珍しくありません。
この記事では、給与計算を税理士・社会保険労務士に依頼する場合の従業員数別の料金の目安、税理士と社会保険労務士それぞれの業務範囲の違い、追加料金が発生しやすい業務、見積りを依頼するときの確認事項を整理します。
※税理士報酬は、2002年4月1日施行の改正税理士法により従来の報酬規定が廃止され、現在は事務所ごとの自由料金となっています。社会保険労務士の報酬についても、法令で定める統一的な報酬基準はなく、事務所ごとの自由料金です。以下は一定の条件を前提とした参考レンジであり、従業員数・依頼先(税理士事務所か社会保険労務士事務所か)・顧問契約の有無などにより異なります。正式な金額は個別の見積りが必要です。最終更新:2026年8月。
給与計算代行の料金の目安(従業員数別)
※以下は、給与計算のみを依頼する場合を前提とした料金の目安です。外部の税理士事務所・社会保険労務士事務所を横断した市場調査の平均値ではなく、タノモルが整理した参考レンジである点にご留意ください。顧問料や社会保険手続き代行料は含まれておらず、別料金になる場合があります。
項目 | 料金の目安(税抜) |
|---|---|
基本料金(月額、目安従業員5名程度まで) | 1万~3万円 |
従業員1人あたりの加算 | 500~2,000円 |
賞与計算(別料金の場合) | (1事務所の例では)従業員数帯によって、人・回ごとの単価とする場合と、基本料金と同程度の定額とする場合があります(公開料金例が限られており、統一的な参考レンジは示せません) |
社会保険手続き代行(算定基礎届・月額変更届等、別料金の場合) | 個別見積り(新規適用等のスポット業務は数万円程度の例あり) |
※従業員1人あたりの加算は、事務所によっては上記のレンジを上回る場合があり、確認できた例では3,000円(税抜)になっているケースもあります。賞与計算の料金は、公開料金例が限られており(具体的な数値を確認できたのは実質1事務所のみ)、事務所によって別料金とするか基本料金に含めるかの扱いも異なるため、上表では具体的な数値レンジを示さず、扱いの傾向のみを記載しています。
給与計算の基本料金には、事務所によって一定の人数までが含まれており、それを超える人数分は1人あたりの加算で計算される料金体系が一般的です。また、顧問契約の有無によって基本料金自体が大きく変わる事務所も確認されています。顧問契約全体の料金水準については「法人の税理士顧問料相場はいくら?年商別の早見表」もあわせてご確認ください。
税理士と社労士、給与計算はどちらに依頼できるか
給与計算そのもの(従業員ごとの総支給額や、社会保険料・源泉所得税・住民税などの控除額を計算する事務作業)は、税理士法・社会保険労務士法のいずれにおいても、その法律だけが独占的に扱えると定めた業務ではありません。そのため、税理士事務所・社会保険労務士事務所のどちらでも、給与計算の代行サービスとして提供している例があります。
一方で、給与計算の結果を用いて作成・提出する書類については、法律ごとに扱える範囲が分かれています。税理士法第2条は、税理士の業務を「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つに整理しており、源泉徴収票の作成や年末調整に伴う税額計算、税務署への法定調書の提出は、この税理士業務に関連します。同法第52条により、税理士・税理士法人でない者が税理士業務を行うことは原則としてできません。年末調整・法定調書の料金については「年末調整・法定調書を税理士に依頼する費用の目安|従業員数別の加算と追加料金」で詳しく解説しています。
これに対して、社会保険労務士法第2条は、社会保険労務士の業務を「労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成・提出手続の代行」「同法令に基づく帳簿書類の作成」「労務管理・社会保険に関する相談・指導」の3つに整理しています。このうち、申請書等の作成・提出手続の代行(算定基礎届、月額変更届、資格取得・喪失届など)、および帳簿書類の作成(賃金台帳など)は、同法第27条により、社会保険労務士・社会保険労務士法人でない者が報酬を得て業として代行することができない独占業務です。相談・指導業務は独占業務とはされていません。
つまり、「給与計算の計算作業そのもの」は税理士・社会保険労務士のどちらにも依頼できる一方、「年末調整の税額計算や法定調書の作成」は税理士業務、「社会保険の届出書類の作成・提出代行」は社会保険労務士の独占業務、という違いがあります。両方の業務をまとめて依頼したい場合は、税理士と社会保険労務士の両方の資格を持つ事務所や、提携している事務所を選ぶ方法もあります。依頼したい業務の範囲を明確にしたうえで、どちらの専門家に相談すべきか、または両方に相談すべきかを検討することをおすすめします。
給与計算の基本料金に含まれることがある業務
給与計算代行の見積書では、次の業務が基本料金の対象として示されることがあります。ただし、実際の範囲は契約ごとに異なります。
- 総支給額の計算(基本給・各種手当・残業代等)
- 社会保険料・雇用保険料・源泉所得税・住民税などの控除額の計算
- 給与明細書の作成(Web明細・紙明細)
- 振込データ(総合振込ファイル等)の作成
- 基本料金の対象人数分の計算
どこまでの業務が基本料金に含まれるかは事務所ごとに異なります。見積りを受け取ったら、上記のうちどの業務が含まれているかに加えて、次の点も確認しましょう。
- 勤怠データ(タイムカード・勤怠管理システムの集計結果等)の提供が前提になっているか
- 住民税額の毎月の更新(特別徴収税額の反映)に対応しているか
- 紙の給与明細の封入・郵送に対応しているか、別料金か
別料金になりやすい業務
次のような業務は、給与計算の基本料金とは別に追加料金が発生する場合があります。
- 賞与(ボーナス)計算
- 社会保険の算定基礎届・月額変更届などの手続き代行(社会保険労務士の独占業務)
- 入社・退職にともなう社会保険の資格取得・喪失手続き
- 年末調整・法定調書の作成(税理士の業務)
- 勤怠管理システムの利用料・連携費用
- 紙の給与明細の封入・郵送
- 給与計算開始時の初期設定(給与規程・手当項目の登録等)
特に社会保険の手続き代行は、給与計算とは別料金として案内している事務所が多く見られました。記帳代行の料金相場は「記帳代行の料金相場|法人・個人事業主別の目安と依頼先の違い」で解説しています。あわせてご確認ください。
給与計算にかかわる主な事務
源泉徴収と年末調整
給与等の支払をする者は、所得税法上の源泉徴収義務者として、給与の支払の都度、所得税および復興特別所得税を差し引いて国に納付する義務を負います。源泉徴収税額は、「給与所得の源泉徴収税額表」の月額表または日額表を用い、社会保険料控除後の給与額と扶養親族等の数に応じて求めます。扶養控除等申告書を提出している人には甲欄、それ以外の人には乙欄を適用します。
年末調整は、1年間に源泉徴収した所得税・復興特別所得税の合計額と、その年に納めるべき税額とを一致させるための精算手続きです。扶養控除等申告書を提出している人のうち、1年を通じて勤務している人などが対象となり、年間の給与総額が2,000万円を超える人などは対象外です。年末調整・法定調書の作成に関する詳しい料金は「年末調整・法定調書を税理士に依頼する費用の目安|従業員数別の加算と追加料金」で解説しています。
社会保険の定時決定(算定基礎届)と随時改定(月額変更届)
社会保険料の計算の基礎となる標準報酬月額は、原則として毎年1回、7月1日現在の被保険者について4〜6月(支払基礎日数17日以上の月)の報酬月額の平均から見直します(定時決定)。事業主は、算定基礎届を毎年7月10日までに日本年金機構へ提出する必要があり、決定された標準報酬月額は原則としてその年の9月から翌年8月まで適用されます。
また、昇給・降給などにより固定的賃金に変動があり、変動後3か月の報酬平均から算出した標準報酬月額が従前と2等級以上の差になった場合(変動月以後引き続く3か月の報酬支払基礎日数が17日以上であることなどが条件)は、定時決定を待たずに標準報酬月額を改定する随時改定の対象となり、月額変更届の提出が必要です。算定基礎届・月額変更届の作成・提出代行は、前述のとおり社会保険労務士法上の社会保険労務士の独占業務です。
給与計算の料金が変わる要因
同じ従業員数の会社でも、次のような要因によって給与計算の料金は変わります。
- 従業員数
- 依頼先が税理士事務所か社会保険労務士事務所か(両方の資格を持つ事務所もあります)
- 顧問契約の有無
- 勤怠管理システムとの連携の有無
- 賞与計算の頻度・回数
- 社会保険手続き代行を含めて依頼するかどうか
- 紙の給与明細の封入・郵送の有無
- 依頼する時期(給与計算開始までの準備期間)
顧問契約とスポット依頼の違い
給与計算代行は、税務顧問契約や労務顧問契約に含まれる場合と、顧問契約とは別料金になる場合、顧問契約がなくても給与計算だけをスポットで依頼できる場合があります。どの位置付けになっているかは事務所によって異なるため、次の点を確認しておくとよいでしょう。
- 顧問契約の月額顧問料に、給与計算が含まれているか
- 含まれていない場合、追加料金の金額と算定方法(人数比例・定額など)
- 顧問契約がなくても、給与計算だけをスポットで依頼できるか
- 社会保険手続き代行も同時契約が必須の事務所か、給与計算のみの契約が可能な事務所か
顧問契約があれば日常的な税務・労務相談とあわせて対応してもらいやすい一方、給与計算だけをスポットで依頼したい場合は、対応可否や契約条件(同時契約が必要な業務の有無)を早めに確認しておくことをおすすめします。
税理士・社労士へ見積りを依頼するときの確認事項
給与計算代行の見積りを比較するときは、少なくとも次の点を確認しましょう。
- 基本料金の対象人数と、それを超える場合の1人あたりの加算額
- 賞与計算が基本料金に含まれるか、別料金か
- 社会保険手続き代行(算定基礎届・月額変更届等)を含むか、別料金か
- 表示金額が税込か税抜か
- 顧問契約が前提の料金か、給与計算のみのスポット料金か
- 勤怠管理システムとの連携費用の有無
- 入社・退職にともなう手続きの追加料金の有無
見積りを比較するときの考え方は「税理士の見積り比較で見るべき3つのポイント」でも解説しています。あわせてご確認ください。
よくある質問
給与計算は税理士と社労士のどちらに依頼すればよいですか
給与計算の計算作業そのものは、税理士・社会保険労務士のどちらにも依頼できます。ただし、年末調整の税額計算や法定調書の作成は税理士の業務、社会保険の届出書類の作成・提出代行は社会保険労務士の独占業務です。依頼したい業務の範囲によって適切な依頼先が変わるため、どこまでの業務を任せたいかを整理したうえで相談することをおすすめします。両方の資格を持つ事務所や、提携している事務所に依頼する方法もあります。
社会保険の手続き(算定基礎届・月額変更届など)も給与計算の料金に含まれますか
事務所によって異なります。給与計算の料金に社会保険手続きが含まれているプランを提供している事務所がある一方、別料金として案内している事務所もあります。特に社会保険の届出書類の作成・提出代行は社会保険労務士の独占業務であるため、税理士事務所に給与計算のみを依頼している場合は、別途社会保険労務士へ依頼する必要があることもあります。見積り時に業務範囲を確認しましょう。
顧問契約がなくても給与計算だけをスポットで依頼できますか
給与計算のみを単独で依頼できる事務所もあります。ただし、事務所によっては相談顧問や社会保険手続きとのセット契約が前提になっている場合もあります。単独での依頼が可能かどうか、可能な場合の料金体系がどう変わるかを事前に確認しましょう。
賞与(ボーナス)計算も同じ料金で対応してもらえますか
賞与計算は、通常の給与計算とは別料金として設定している事務所と、基本料金の範囲内で対応している事務所があります。賞与計算の頻度(年1〜2回が一般的)や対象人数によっても料金は変わるため、見積り時に賞与計算の扱いを確認しておきましょう。
まとめ
給与計算を税理士・社会保険労務士に依頼する費用は、従業員数、依頼先が税理士事務所か社会保険労務士事務所か、顧問契約の有無、社会保険手続き代行を含めるかどうかなどによって変わります。給与計算の計算作業そのものはどちらにも依頼できる一方、年末調整の税額計算・法定調書の作成は税理士の業務、社会保険の届出書類の作成・提出代行は社会保険労務士の独占業務という違いがあるため、依頼したい業務の範囲を整理したうえで、料金の前提とあわせて見積り時に確認することが重要です。
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※本記事は一般的な参考情報を提供するものであり、個別の税務相談・労務相談、税額計算・保険料計算、特定の税理士事務所・社会保険労務士事務所の料金評価を行うものではありません。実際の依頼にあたっては、各事務所の見積りについて、税込・税抜の別、業務範囲、追加料金の条件をご確認ください。
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