償却資産申告を税理士に依頼する費用の目安|資産件数・提出先別の加算と追加料金
機械装置や器具備品などの事業用資産を持つ法人・個人事業主には、毎年1月31日までに「償却資産申告」を行う義務があります。税理士に依頼する場合の費用は、資産の件数や資産価額、資産が所在する市区町村の数(提出先の数)、顧問契約の有無によって変わります。同じ規模の事業者でも、固定資産台帳の整備状況や依頼先の事務所によって金額に差が出ることは珍しくありません。
この記事では、償却資産申告を税理士に依頼する場合の費用の目安、基本料金に含まれることがある業務と追加料金になりやすい業務、償却資産税の基本的な仕組み、見積りを依頼するときの確認事項を整理します。
※税理士報酬は、2002年4月1日施行の改正税理士法により従来の報酬規定が廃止され、現在は事務所ごとの自由料金となっています。以下は一定の条件を前提とした参考レンジであり、資産件数・資産価額・提出先の数・顧問契約の有無などにより異なります。正式な金額は個別の見積りが必要です。最終更新:2026年8月。
償却資産申告の料金の目安
※以下は、固定資産台帳が整備されており、資産の異動状況が確認できることを前提とした、償却資産申告にかかる料金の目安です。外部の税理士事務所を横断した市場調査の平均値ではなく、タノモルが整理した参考レンジである点にご留意ください。決算申告料や記帳代行料は含まれておらず、別料金になる場合があります。
業務 | 料金の目安(税抜) |
|---|---|
償却資産申告(基本料金・1申告先あたり) | 5,000~2万円 |
資産件数・資産価額に応じた加算 | 件数10件あたり1,000~2,000円程度、または資産価額の段階に応じて加算(事務所により算定方法が異なる) |
複数市区町村への提出がある場合の加算 | 提出先(市区町村)1か所ごとに数千円~2万円程度が加算される場合あり |
※資産件数・資産価額に応じた加算、複数市区町村への提出がある場合の加算は、事務所によって算定方法(資産価額の段階に応じた料金体系か、資産件数に応じた加算方式か、提出先ごとの定額方式か)が大きく異なります。上記はいずれかの方式を前提とした目安であり、実際の金額は見積り時に算定方法とあわせて確認してください。
償却資産申告の料金体系には、資産価額の合計に応じて段階的に料金が上がる方式と、基本料金に一定件数までを含み、それを超える資産件数に応じて加算する方式があります。どちらの方式かによって、資産件数は少ないが1件あたりの価額が大きい事業者と、少額資産を多数保有する事業者とで、有利・不利が変わることがあります。顧問契約全体の料金水準については「法人の税理士顧問料相場はいくら?年商別の早見表」、決算申告料との関係については「法人決算申告を税理士に依頼する費用の目安|内訳と追加料金を解説」もあわせてご確認ください。
償却資産申告の基本料金に含まれることがある業務
税理士事務所の見積書では、次の業務が基本料金の対象として示されることがあります。ただし、実際の範囲は契約ごとに異なります。
- 種類別明細書(増加資産用・減少資産用、初年度は全資産用)の作成
- 償却資産申告書の作成・提出
- 基本料金の対象資産件数分の計算
- 1申告先(1市区町村)分の申告
どこまでの業務が基本料金に含まれるかは事務所ごとに異なります。見積りを受け取ったら、上記のうちどの業務が含まれているかに加えて、次の点も確認しましょう。
- 固定資産台帳が整備され、資産の取得・除却状況が明確であることが前提になっているか
- 資産の現況確認(実地棚卸し)を含むか
- eLTAX(地方税ポータルシステム)による電子申告に対応しているか
- 前年から資産に増減がない場合の料金の扱い
別料金になりやすい業務
次のような業務は、償却資産申告の基本料金とは別に追加料金が発生する場合があります。
- 資産件数が多い場合、または資産価額が大きい場合の加算
- 複数市区町村に資産がある場合の、提出先ごとの加算
- 固定資産台帳が整備されていない場合の資産の洗い出し・整理
- 記帳代行
- 年末調整・法定調書の作成(提出期限は同じく1月31日ですが、根拠となる法令も提出先も異なる別の申告手続きです)
- 申告期限直前の依頼
特に、複数の店舗・事業所を持つ事業者では、資産が所在する市区町村の数だけ提出先が増えるため、提出先ごとの加算の有無が総額に大きく影響します。年末調整・法定調書は提出期限が同じく1月31日で時期が重なりますが、根拠となる法令も提出先も異なる別の申告手続きです。年末調整・法定調書の料金については「年末調整・法定調書を税理士に依頼する費用の目安|従業員数別の加算と追加料金」で解説しています。あわせてご確認ください。
償却資産税とは
償却資産とは(対象となる資産・対象外となる資産)
償却資産とは、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産で、その減価償却額又は減価償却費が法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上、損金又は必要な経費に算入されるもの(鉱業権・特許権などの無形減価償却資産を除く)をいいます。構築物(舗装路面・看板等)、機械装置、船舶、航空機、車両(自動車税・軽自動車税の対象となる自動車等を除く)、工具・器具・備品などが該当します。
一方で、次のような資産は申告対象から除外される一般的な取扱いがあります。
- 取得価額10万円未満で、法人税法・所得税法上の規定により一時に損金(必要経費)に算入したもの
- 取得価額20万円未満で、3年間で一括償却したもの(一括償却資産)
- 取得価額20万円未満の一定のリース資産
ただし、中小企業者等の少額減価償却資産の特例を適用して損金算入した資産や、少額であっても個別に減価償却している資産は、原則として償却資産の申告対象となります。少額資産・一括償却資産・リース資産の扱いは資産ごとの判定が必要になるため、個別の資産が申告対象に含まれるかどうかは、税理士に確認することをおすすめします。
免税点とは(150万円未満でも申告は必要)
固定資産税には免税点があり、同一の市町村内におけるその者の所有に係る償却資産の課税標準額の合計が150万円に満たない場合、原則として固定資産税は課税されません(土地は30万円、家屋は20万円が免税点です)。
ただし、免税点未満で固定資産税が課税されない場合であっても、償却資産申告書の提出自体は必要です。「資産が少ないから申告しなくてよい」という判断は誤りであり、免税点未満かどうかは市町村が申告内容をもとに判定するため、申告自体は毎年必要になる点に注意してください。
なお、令和8年度税制改正により、固定資産税の免税点は、償却資産については150万円から180万円へ、家屋については20万円から30万円へ引き上げられることが決まっています。この改正を盛り込んだ地方税法等の一部を改正する法律が令和8年3月31日に成立しており、適用は令和9年度以後の年度分の固定資産税からです。申告時期や実務上の取扱いの詳細は、申告のたびに税理士へ確認することをおすすめします。
申告期限・提出先
償却資産の所有者は、毎年1月1日現在の所有状況について、その所在・種類・数量・取得時期・取得価額・耐用年数等を、1月31日までに、その償却資産の所在地の市町村長に申告しなければなりません。提出先は資産が所在する市区町村であり、複数の市区町村に資産がある場合は、それぞれの市区町村へ申告書を提出する必要があります。
電子申告(eLTAX)の対応状況
償却資産申告は、eLTAX(地方税ポータルシステム)を通じて電子的に提出することができます。従来から市町村向けの申告での電子化対応が進められてきましたが、都道府県知事・総務大臣が評価する資産や大規模な償却資産の申告についても、電子化の対象が拡大されてきています。対応状況は時期によって変わることがあるため、電子申告を希望する場合は依頼先の税理士に最新の対応状況を確認しましょう。
償却資産申告の料金が変わる要因
同じ業種・規模の事業者でも、次のような要因によって償却資産申告の料金は変わります。
- 資産の件数
- 資産価額の合計
- 資産が所在する市区町村(提出先)の数
- 固定資産台帳の整備状況(資産の異動が正確に把握できているか)
- 前年からの増加資産・減少資産の多さ
- 電子申告(eLTAX)か紙提出か
- 顧問契約の有無
- 依頼する時期(申告期限までの余裕)
顧問契約とスポット依頼の違い
償却資産申告は、法人決算申告や年末調整・法定調書と同様に、顧問契約に含まれる場合と、顧問契約とは別料金になる場合、顧問契約がなくても償却資産申告だけをスポットで依頼できる場合があります。どの位置付けになっているかは事務所によって異なるため、次の点を確認しておくとよいでしょう。
- 顧問契約の月額顧問料に、償却資産申告の作成が含まれているか
- 含まれていない場合、追加料金の金額と算定方法(資産価額の段階・資産件数・提出先の数など)
- 顧問契約がなくても、償却資産申告だけをスポットで依頼できるか
- スポット依頼の場合、固定資産台帳の整備状況によって料金が変わるか
顧問契約があれば決算申告や日常的な税務相談とあわせて対応してもらいやすい一方、償却資産申告だけをスポットで依頼したい場合は、対応可否や資料提出の期限を早めに確認しておくことをおすすめします。
税理士へ見積りを依頼するときの確認事項
償却資産申告の見積りを比較するときは、少なくとも次の点を確認しましょう。
- 基本料金の算定方法(資産価額の段階に応じた料金か、資産件数に応じた加算方式か)
- 複数市区町村への提出がある場合、提出先ごとにどのように加算されるか
- 表示金額が税込か税抜か
- 顧問契約が前提の料金か、償却資産申告のみのスポット料金か
- 固定資産台帳が整備されていることが前提の料金か、資産の洗い出しから依頼する場合は別料金か
- 少額資産・一括償却資産・リース資産について、申告対象かどうかの判定を含むか
- eLTAXによる電子申告に対応しているか
見積りを比較するときの考え方は「税理士の見積り比較で見るべき3つのポイント」でも解説しています。あわせてご確認ください。
よくある質問
課税標準額が免税点未満でも申告は必要ですか
必要です。令和8年度分までの償却資産の免税点は150万円で、令和9年度以後の年度分から180万円へ引き上げられます。課税標準額の合計がその年度の免税点に満たない場合、固定資産税は課税されませんが、償却資産申告書の提出自体は必要です。免税点未満かどうかは市町村が申告内容をもとに判定するため、資産が少ない場合でも申告を省略しないようにしましょう。
償却資産申告だけを単発(スポット)で税理士に依頼できますか
償却資産申告のみをスポットで依頼できる事務所もあります。ただし、固定資産台帳が整備されていることや、資産の異動状況(増加・減少)が確認できることが前提になる場合が多く、顧問契約がある場合の料金と条件が異なることがあります。依頼できる範囲と料金の前提を事前に確認しましょう。
複数の店舗・事業所がある場合、申告や料金はどう変わりますか
資産が所在する市区町村ごとに、それぞれ償却資産申告書を提出する必要があります。税理士に依頼する場合の料金も、提出先(市区町村)が増えるごとに加算されることが一般的ですが、加算の算定方法や金額は事務所によって異なります。複数の店舗・事業所がある場合は、提出先ごとの加算方法を見積り時に確認しましょう。
少額資産や一括償却資産、リース資産も申告対象になりますか
取得価額10万円未満で一時に損金算入した資産、取得価額20万円未満で3年一括償却した資産、取得価額20万円未満の一定のリース資産は、申告対象から除外される一般的な取扱いがあります。ただし、個別に減価償却をしている場合や特例を適用している場合は申告対象になることがあり、判定には個々の資産の状況を確認する必要があります。該当する資産があるかどうかは、税理士に確認することをおすすめします。
まとめ
償却資産申告を税理士に依頼する費用は、資産の件数・資産価額、提出先(市区町村)の数、固定資産台帳の整備状況、顧問契約の有無などによって変わり、事務所ごとに料金の算定方法も異なります。免税点未満でも申告自体は必要である点、複数市区町村に資産がある場合は提出先ごとに加算されやすい点を踏まえたうえで、料金の前提と算定方法を見積り時にあわせて確認することが重要です。
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※本記事は一般的な参考情報を提供するものであり、個別の税務相談、税額計算、特定の税理士事務所の料金評価を行うものではありません。実際の依頼にあたっては、各事務所の見積りについて、税込・税抜の別、業務範囲、追加料金の条件をご確認ください。
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