顧問料

税務調査対応を税理士に依頼する費用の目安|立会い日当と顧問契約による違い

税務署から税務調査の事前通知を受けた場合、税理士に立会いを依頼するかどうか、依頼する場合にいくらかかるのかは、多くの経営者・個人事業主にとって気になるところです。税務調査対応の料金は、立会いにかかる日数、顧問契約があるかどうか、税務署の調査か国税局調査部・査察調査といった規模の大きい案件かによって変わります。同じ業種・規模の事業者でも、依頼先の事務所や契約状況によって金額に差が出ることは珍しくありません。

この記事では、税務調査対応を税理士に依頼する場合の料金の目安、税務調査の基本的な流れ、税理士が調査に立ち会う法的な根拠、追加料金が発生しやすいケース、調査の結果修正申告が必要になった場合の加算税・延滞税の基本、見積りを依頼するときの確認事項を整理します。

※税理士報酬は、2002年4月1日施行の改正税理士法により従来の報酬規定が廃止され、現在は事務所ごとの自由料金となっています。以下は一定の条件を前提とした参考レンジであり、立会い日数・顧問契約の有無・調査の規模などにより異なります。正式な金額は個別の見積りが必要です。最終更新:2026年8月。

税務調査立会いの料金の目安

※以下は、税理士に税務調査への立会いを依頼する場合を前提とした料金の目安です。外部の税理士事務所を横断した市場調査の平均値ではなく、タノモルが整理した参考レンジである点にご留意ください。顧問料そのものは含まれておらず、別料金になる場合があります。

項目

料金の目安(税抜)

立会い日当(1日・1人あたり)

2万~9万円程度

事前打合せ・準備

個別見積り(基本料金として数十万円台のパッケージ料金を設定する事務所もあります)

修正申告書の作成(税務調査の結果、修正申告が必要になった場合)

個別見積り

国税局調査部・査察調査案件

個別見積り(通常より高額になる場合があります)

※立会い日当は、確認できた公開料金例では2万円から9万円程度まで幅がありました。顧問契約がある場合は無料または割安になる事務所と、顧問契約の有無にかかわらず一律料金の事務所の両方が確認されています。「1日」の時間の定義(6時間を1日とする例など)も事務所によって異なるため、金額だけでなく対象時間もあわせて確認することをおすすめします。修正申告書の作成費用は、公開料金例の間で10倍前後の差があり、税目・年数によって個別見積りになるため、上表では具体的な数値レンジを示していません。

税務調査対応の料金は、顧問契約全体の料金水準とは別に考える必要があります。顧問契約全体の料金水準については「法人の税理士顧問料相場はいくら?年商別の早見表」もあわせてご確認ください。

税務調査とは|事前通知から終了までの流れ

事前通知(国税通則法第74条の9)

税務署などが実地の税務調査を行う場合、原則として、あらかじめ納税者(税務代理人である税理士がいる場合はその税理士を含みます)に対して、調査を開始する日時・場所、調査の目的、対象となる税目・課税期間、対象となる帳簿書類など、法律で定められた事項を通知することとされています(国税通則法第74条の9)。ただし、事前通知をすると正確な課税標準等の把握を困難にするおそれがある場合など、一定の場合には事前通知を行わずに調査が行われることもあります(同法第74条の10)。事前通知は「必ず行われる」ものではなく、あくまで原則である点に注意してください。

質問検査権と税務代理

税務職員は、国税に関する調査について必要があるときは、納税者などに質問し、帳簿書類その他の物件を検査し、またはその提示・提出を求めることができます(質問検査権)。税理士は、税理士法第30条に基づく「税務代理権限証書」を税務署に提出することで、納税者の税務代理人として調査に立ち会い、税務署とのやり取りを代理・補助することができます。税理士への立会い依頼は義務ではなく任意であり、立会いを依頼するかどうかは納税者の判断に委ねられています。

税理士が税務調査に立ち会う根拠|税務代理権限証書と書面添付制度

税理士が申告書の作成に関与した際、税理士法第33条の2に基づき、申告書の計算根拠や相談を受けた事項などを記載した書面(いわゆる書面添付)を申告書とあわせて提出している場合には、税務署が実地の調査を行う前に、その税理士に対して意見を述べる機会(意見聴取)が与えられる制度があります(税務代理権限証書の提出も前提となります)。書面添付を行っていた事業者は、調査の実施前に税理士を通じて論点の説明や資料の補足を行える可能性がある点で、そうでない場合と手続きの流れが異なることがあります。書面添付を行っているかどうかは、顧問税理士に確認しておくとよいでしょう。

税務調査対応の基本料金に含まれることがある業務

税務調査対応の見積書では、次の業務が対象として示されることがあります。ただし、実際の範囲は契約ごとに異なります。

  • 事前通知を受けた後の打合せ・想定される論点の整理
  • 調査当日の立会い(税務署とのやり取りの補助・代弁)
  • 調査終了後の税務署との連絡・調整

どこまでの業務が基本料金・日当に含まれるかは事務所ごとに異なります。見積りを受け取ったら、上記のうちどの業務が含まれているかに加えて、調査が複数日にわたった場合の日当の扱いや、遠方への出張が必要な場合の交通費の扱いも確認しましょう。

別料金になりやすい業務

次のような業務は、税務調査対応の基本料金・日当とは別に追加料金が発生する場合があります。

  • 修正申告書の作成(税目・年数に応じて別料金となる例が多く見られました)
  • 不服申立て(再調査の請求・審査請求など。追徴税額の減額分に応じた成功報酬制の事務所もあります)
  • 国税局調査部が担当する規模の大きい案件、査察調査(強制調査)案件
  • 遠方への出張にともなう交通費・宿泊費

特に修正申告書の作成は、税務調査対応の日当とは別料金として案内している事務所が複数見られました。修正申告そのものの料金については「修正申告を税理士に依頼する費用の目安|追加料金と依頼時の確認事項」で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

税務調査の結果、修正申告が必要になった場合の加算税・延滞税

税務調査の結果、申告内容に誤りが見つかり修正申告を行う場合や、無申告であったことが判明した場合は、本来納めるべきだった税額に加えて、加算税や延滞税が発生することがあります。これらは税理士への依頼費用とは別に、税務署へ納める税金です。加算税の割合は、修正申告等を行うタイミングによって次のように区分されています。

修正申告等の時期

過少申告加算税

無申告加算税

法定申告期限後、調査通知前の自主的な修正・期限後申告

課されません

5%

調査通知後、更正・決定を予知する前

5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%)

10%(50万円を超える部分は15%)

調査による更正・決定を予知した後

10%(同50万円等超過部分は15%)

15%(50万円を超える部分は20%)

※上表は国税庁の公表資料(過少申告加算税・無申告加算税の税率区分)を整理したものです。事実の全部または一部を仮装・隠蔽していた場合は、過少申告加算税に代えて35%、無申告加算税(または源泉所得税の不納付加算税)に代えて40%の重加算税が課され、過去5年以内に同じ税目で無申告加算税(更正・決定を予知した後のもの)または重加算税を課されたことがある場合は、さらに税率が加重されます(重加算税は35%→45%、40%→50%等)。なお、法定申告期限から1か月以内に自主的に期限後申告を行うなど一定の要件を満たす場合は、無申告加算税が課されないことがあります。また、納期限までに納付されなかった税額には延滞税がかかります。延滞税の割合は年によって見直されており、2026年(令和8年)は、法定納期限の翌日から2か月を経過する日までは年2.8%、それ以降は年9.1%です。

この段階構造からわかるとおり、税務署から調査の事前通知が来る前に誤りに気づき、自主的に修正申告をした場合は過少申告加算税が課されず、通知後であっても税務署からの指摘(更正等の予知)を受ける前に自主的に修正申告をした場合は、指摘を受けた後よりも低い税率が適用されます。心当たりのある誤りがある場合は、早めに税理士へ相談することで、加算税の負担を抑えられる可能性があります。

税務調査対応の料金が変わる要因

同じ業種・規模の事業者でも、次のような要因によって税務調査対応の料金は変わります。

  • 立会いが必要な日数
  • 顧問契約の有無(顧問契約があれば無料・割安になる事務所と、一律料金の事務所があります)
  • 税務署による調査か、国税局調査部が担当する規模の大きい案件か、査察調査案件か
  • 修正申告が必要になるかどうか、必要な場合の税目数・年数
  • 遠方への出張の要否
  • 書面添付制度を利用していたかどうか(意見聴取の対応が別途発生する場合があります)

顧問税理士がいない場合・対応に不安がある場合

顧問税理士がいない場合や、顧問税理士が税務調査への対応に不慣れな場合でも、税務調査対応のみをスポットで引き受けている事務所があります。中には、既存の顧問税理士との契約はそのままに、セカンドオピニオンとして立会いのみを依頼できる事務所も確認できました。一方で、事務所によっては税務調査対応の依頼をきっかけに顧問契約への切り替えを案内される場合もあります。依頼前に、スポット対応が可能か、顧問契約が前提になるかを確認しておくとよいでしょう。

税理士へ見積りを依頼するときの確認事項

税務調査対応の見積りを比較するときは、少なくとも次の点を確認しましょう。

  • 立会い日当の金額と、対象となる時間・人数
  • 顧問契約の有無によって料金が変わるか
  • 表示金額が税込か税抜か
  • 修正申告書の作成費用が別料金かどうか、税目・年数ごとの算定方法
  • 不服申立てが必要になった場合の成功報酬・追加費用の有無
  • 国税局調査部・査察調査案件の場合の料金の変動幅
  • 遠方への出張が必要な場合の交通費・宿泊費の扱い

調査対象となっている法人決算申告そのものの料金については「法人決算申告を税理士に依頼する費用の目安|内訳と追加料金を解説」、見積りを比較するときの考え方は「税理士の見積り比較で見るべき3つのポイント」でも解説しています。あわせてご確認ください。

よくある質問

税務調査の立会いを税理士に依頼すると、費用はいくらくらいかかりますか

確認できた公開料金例では、立会い日当は1日・1人あたり2万円から9万円程度と幅がありました。顧問契約の有無や、税務署の調査か国税局調査部・査察調査といった規模の大きい案件かによっても金額が変わるため、事前に見積りを確認することをおすすめします。

顧問税理士がいれば、税務調査対応は追加料金なしで対応してもらえますか

事務所によって異なります。顧問契約があれば税務調査対応が無料または割安になる料金体系の事務所がある一方、顧問契約の有無にかかわらず一律の日当を設定している事務所もあります。顧問契約に税務調査対応が含まれるかどうかは、契約時または調査の事前通知を受けた時点で確認しましょう。

顧問税理士以外の税理士に、税務調査対応だけをスポットで依頼できますか

スポットで税務調査対応のみを引き受けている事務所があります。既存の顧問税理士との契約を維持したまま、セカンドオピニオンとして立会いのみを依頼できる事務所も確認できました。ただし、事務所によっては対応のために顧問契約への切り替えを案内される場合もあるため、依頼前に条件を確認しておくとよいでしょう。

税務調査の結果、修正申告が必要になった場合、追加でどのような税金がかかりますか

本来納めるべきだった税額に加えて、過少申告加算税または無申告加算税、納付が遅れた日数に応じた延滞税がかかります。加算税の税率は、税務署からの事前通知や指摘(更正等の予知)の前後で異なり、通知前の自主的な修正であれば過少申告加算税は課されません。仮装・隠蔽があった場合は、これらに代えてより高い税率の重加算税が課されます。

まとめ

税務調査対応を税理士に依頼する費用は、立会い日数、顧問契約の有無、調査の規模(税務署調査か国税局調査部・査察調査案件か)、修正申告の要否などによって変わります。加算税・延滞税は税理士への依頼費用とは別に税務署へ納める税金であり、その税率は修正申告等を行うタイミングによって段階的に定められています。心当たりのある誤りがある場合は早めに税理士へ相談し、依頼したい業務の範囲を整理したうえで、料金の前提とあわせて見積り時に確認することが重要です。

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※本記事は一般的な参考情報を提供するものであり、個別の税務相談、税額計算、特定の税理士事務所の料金評価を行うものではありません。税理士の立会いは、税務調査の結果(加算税の有無や追徴税額)を保証するものではありません。実際の依頼にあたっては、各事務所の見積りについて、税込・税抜の別、業務範囲、追加料金の条件をご確認ください。

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